マニュアル設定で大事な「絞り/F値」について解説します。
「絞り」とは目でいうと瞳の部分です。カメラに入ってくる光の量を調節する部分です。
「F値」または「Fストップ」などとも言われ、【Focal Number】のFから来ています。
※Focal=焦点の、Focus=焦点
その「絞り値」の仕組みや、カメラでの設定について述べて行きます。
なぜF値でボケを作れるのか?
よく見えない時、目を細めたことがありますか?
目が悪い方は、共感していただけると思いますが、メガネやコンタクトを外してよく見えない状態の時に、目を出来るだけ細くしてピントを合わせようとしたことが、きっとあると思います。
よく見ようとするときは、なぜか自然と目を細めてしまいますよね。そして何故か見えてしまうことに不思議な気持ちになります。
これはカメラも同じで、レンズの真ん中(目の真ん中)が一番、ハッキリと物を映し出すことができるんです。なので、その真ん中に光を集めピントを合わせ、綺麗な像を作っているんです!
そして、そのピントがあっていない部分が「ボケ」(被写界深度)になります。
最近のスマホでは、綺麗なボケ感を出せる高機能なものがたくさん出てきていますが、スマホの写真はやはり「ボケ風」という感じで、本気のカメラで撮るのと比べると、やはり差があるように感じられます。
では、どのようにしてボケ感をコントロールできるのでしょうか。
数値
レンズの仕様によって様々ですが、F値は「F1.4〜F32」まであります。
F値は「焦点距離÷レンズ口径」という計算で出されています。
F1.4 | F2 | F2.8 | F4 | F5.6 | F8 | F11 | F16 | F22 | F32 |
- ボケを生かす→開放値〜F8
- 全体的にピントを合わせる→F8〜F11
商品写真や景色などでピントが全面的に合っているものを、ディープフォーカスまたはパンフォーカスと呼ばれます。
比較
部屋の中、窓際での撮影のためISOは400に設定してあります。F2.8のレンズを一段上げて、F3.2から順にF値を上げていきながら撮影したものを並べてみます。
三脚に立てて「絞り優先モード(Av)」を選択。これで、絞り値を変えてもカメラ側がベストなシャッタースピードを決めてくれます。
F3.2
後ろの猫ちゃんの表情は、あまり分かりませんね。
手前の猫の顔にピントを当てています。ボケが出ているとき、正確には「背景がボケている」のではなく、「焦点の周辺がボケている」のです。なので実は前の方もボケがかかるんですよ。
F5.0
こちらの方が、後ろの猫ちゃんの顔が何となく分かりますね。
F8.0
どうですか?F5.0と比べて、後ろの猫ちゃんの瞳の輪郭が分かるくらいになりました。
F18
はい、F18になるとだいぶ全体的に焦点があってきましたね。
F25
F25まで上げてみました。パッと見た感じのボケは、ありませんね。
明るいレンズとは?
絞りが最大に開かれている状態、言わば一番小さいF値の事を「開放値」といい、その値が低いほど明るく綺麗に撮ることができます。
一般的にはズームレンズでF値が2.8あれば、「明るいレンズ」と呼ばれ、良いレンズだという認識があります。単焦点レンズであれば、F2.0以下のものが明るいレンズです。
明るいレンズにはデメリットもあります。重い、大きい、値段が少々高いなど。
以前、14mm-24mmのF2.8の広角ズームレンズを使用していたときは、重くて持ち運びが大変でした!(笑)何より、値段が17万円ほどしました・・・。
その分、とても明るく大迫力の写真が撮れたので、後悔はしていません!
単焦点レンズは、明るいレンズでも数万円もあればいいものが手に入ります。
レンズは、開放から1~2段絞ると解像力が高くなる特性があるので、開放値(F最小値)から少し絞って(F値を上げて)撮ると綺麗に撮ることができます。
解像力とは、細部をどこまで綺麗に正確に現すかということです。
ボケ感を出す以外に、F値を変えるもう一つの理由
それは、「ブレの防止」です!
シャッタースピードが速いほど、ブレが起きにくいことは理解できます。
しかし、シャッタースピードが速いという事は、カメラに光が充分に入って来ず、暗くなります。
ISO感度を上げることでも解消されますが、良い画質を保つためには、あまり上げたくない。という方は・・・
F値を小さくすることで「明るく」なり「シャッタースピードを速く」することが可能になり「ブレが起きにくい」撮影をすることができるのです。
ボケは作らず、全体的にピントを合わせる
背景写真など、奥の方まで全体的に焦点があっていることを「パンフォーカス」または「ディープフォーカス」と呼びます。
F8からF11がオススメです。
シャッタースピードが遅くなるので手で持つとブレてしまいがちです。三脚などを使い、リモコンやセルフタイマーなどでシャッターを切るとよいでしょう。
F値の目安
ポイントとオススメの目安をまとめておきます。
F値を小さくし絞ってボケを生かして撮る(開放値~F6ほど)
- ボケ感が強くなる
- 画質が良くなる
- 明るくなり、シャッタースピードを速くすることができる
F値を程よく絞る(F4-F8)
- 開放値(一番小さいF値)より1段〜2段あげると、解像力が上がる(シャープになる)
- 人物撮りや物撮りで、被写体をハッキリ印象付けたい時におすすめ
F値を大きくする(F8-F11)
- 景色や、物撮りなどで写真全体にピントを合わせたい時など
- スローシャッターとなるので、背景をぼかさず動きの流れを出したいときに最適
F値をさらに大きくすると(F11以上)
- 画質が悪くなる
- 暗くなるのでシャッタースピードを遅くしなければいけない
- 朝焼けや夕焼けなどのやわらかい太陽光を撮ると、光の線が出る。